また、ガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒、家庭用シュレッダーで幼児の指が傷つけられた事故も、20年以上前から起きていたのに対して行政や政治が有効な対策を打たなかった、薬害エイズやC型・B型肝炎問題も根っこは同じような実態である。
食品表示や耐震強度の偽装が相次ぎ、安心・安全への関心は非常に高まっている。製品やサービスが高度で複雑になってきているのも事実である。その上、高齢者をねらった悪徳商法や振り込めサギなどの件数も一向に減ってはいない。
事前規制から、事故チェックの機能強化へと消費者の視点に立った迅速な対応と被害拡大の防止や損害の回復を図っていく必要がある。
日本の行政は殖産興業の明治以来、業の振興に主眼が置かれてきた。業界ごとに細かく法律を作り、それに基づき監督官庁が保護・育成の任を担う、つまり『業法行政』だった。その中で消費者保護は残念ながら二次であった。
消費者行政に関する法律は主要なものだけで20以上もあり、管轄は10省庁にまたがる。相談窓口を一本化して情報を吸い上げ、速やかに被害拡大を防ぐ努力が大切だと私は思っている。「内閣府国民生活局や国民生活センター等に役割のすべてを一元化すべきである」と申し上げてきた。
「強い権限を持つ新組織を発足し、担当大臣を常設するというのはいかがであろうか」米国では独立性の高い連邦取引委員会(FTC)の消費者保護局が消費者問題に広範な権限を持っている。フランスでも経済財務雇用省内局に消費者問題のサギ防止総局が所管している。平成16年にようやく消費者基本法が制定された。消費者行政は始まったばかりであるが、実のある取組が望まれていると感じた。

